ミッドガルド連合軍駐留地は、いろいろな人でごった返している。
たまたま入ったテントでは、1人の男が資料を読んでいた。何となく気になったヒイロが、その男を眺めていると、彼もこちらに気づいた。
以下追記。
ここから追記。
その男は名をセルザンという。駐留軍の情報統制を担当する部署の、リーダー的存在。
駐留軍には魔王モロク追跡や生物・鉱石等の調査などを行うチームがある。それらの情報をまとめて駐留軍としての方向性に役立てたり、本国への情報提供を行ったり。
…普通、そういうのは幕僚とチームとが直接やりとりするものだと思うのだが、まあやり方はそれぞれ。
さて、そんなセルザンの悩みは、各国の寄せ集め部隊であるが故の仲の悪さ。それぞれ気質も違うし常識も違う。目的意識では一致しているものの、方向性に難があるのかも。
で、部外者として出来ることもあるかもしれないと、ヒイロが協力を申し出る。セルザン感涙した後、具体的なお願いをされる。
3ヶ国の報告担当官が特に仲が悪く、会議がちっともうまく進まないのだそう。で、この3人の仲を何とか取り持って欲しいと。考えてみれば無茶なお願いなのだが、確かに知っている人相手ではそう簡単に態度は変わらない。せめて何が気に入らないのか分かれば、手の打ちようもあるかもしれないと。
ということで3人を順に回る。
まずルーンミッドガルド王国の担当官。セルザンのいるテントを出たすぐそばにいる。
何とも神経質そう、というかA型気質の彼の名はリョースン。自分はこんなに頑張ってるのに、とイライラしっぱなし。でも外交問題に発展する可能性もあるので、強く相手をなじることも出来ない。
…でもこの人の場合、無駄に責任感がありすぎるかなあ。そして協調性に欠ける。押して駄目なら引いてみな、という考え方が出来ない人なのかも。
そんな彼に、2ヶ国への書類配達を頼まれる。王国の調査資料を他2ヶ国と共有する、あるいは他2ヶ国の情報も出してもらう、そうすることで書類の山を減らす。そのための会議の連絡。
そんな用事すらヒイロに頼むほどに、リョースンは2人に会いたくないらしい。こうなるとノイローゼですな。
回覧は順番が決まっていて、先にシュバルツバルト共和国、その次にアルナベルツ教国。
で、出席要請にサインをもらってくるように言われた。この辺り律儀というか何というか。
共和国の報告担当官ヒューは、本部テントを挟んだ北東にいる。
こちらはB型っぽい。自身が尊重されなければ苛つくタイプ、早く言えばプライドが高め。
王国からの出席要請を傲慢と取った彼は、その身勝手さに大いに憤慨。とりあえず読み終わったところでサインをもらおうとすると、いらつき度はさらにアップ。殴り書きのような形でサインをよこした。
次は教国。本部テントのすぐ南にいるヘンジヌは、何故か踊っていた。
他2人から「会話に相当忍耐力がいる」と評された彼、確かになかなか真面目に話を聞こうとしない。O型…でもないな、AB型っぽいか。
何とか要請書をみせると、やっと真面目になってくれた。
手順を確認。最後に書類が回ってきたのが気に入らないらしい。この流れはいつもそうらしく、そのたびについでっぽい感じを受けているのだとか。
さて要請書を読んだものの、また意味不明な茶化しが入る。しかもなぜか「うちあげ」がツボに入ったよう。笑い転げるヘンジヌから、何とかサインをもらってきた。
リョースンの所へ。労いの言葉をかけてもらう。
彼の人物評は、確かに当たっていなくもない…が、それだけではないような気がする。固定観念に固まっている傾向があるかな。
それは他2人にもいえることで、端的には他国製おかし評に見られる異文化への無意味な蔑視に現れている。仕事をしてやっている感が3人とも強いのかねえ…。
会議への参加要請も回ったところで、セルザンへ会議開催要請を回してくれるように頼まれる。セルザンに配達。
セルザン曰く、3ヶ国の利害が対立する、というより、あえて協力しなければならない局面が少ないというのも、不仲の原因になっているのかもと。
怒号飛び交う会議も、第3者がいれば少しはましになるかもと、会議への立ち会いもセルザンから頼まれる。まあ暇なので承諾。
さらに用事。
リョースンへ、会議用資料のとりまとめが出来たかどうかを確認することになる。
リョースンに聞いてみると、教国管轄分の資料がまだ届いていないという。ヘンジヌへ確認に行くことに。
ところが、ヘンジヌはとんでもないことを言い出した。
湖の畔で資料をなくしたのだそう。探す気も起こさず戻ってきたのだとか。もちろん作り直す気もなし。さすがにこれは他3人から咎められても仕方ないような気はする。
ということで、釣りで探すことに。
釣りはリリーナがやったような感じ。この依頼を受けていると、報告書が釣れることがある。はしくれ10個釣り上げる間に大体釣れるが、釣れなければまた明日。先にヘンジヌから報告書の話を聞いてから、猫の手サービスと契約するといいのかも。さすがに20匹釣り上げる間には釣り上げられるだろう…。
ちなみに湖の畔、とヘンジヌは言うのだが、スプレンティッドフィールド02の魚の群れでも釣れたりする。
ここでヒイロが忙しくなったので、同じ騎士のノインにバトンタッチ。
さてそうやって見つけてきた資料は、当然ぐちゃぐちゃ。ヘンジヌ曰く、こういうのを復元する技術が、共和国にあるはずだという。というか王国にもキンキンキラキラ男がそんなマシーンを開発していたような気もするが、とりあえずヒューを頼ってみることに。
ヒューもどろどろになった書類に目を丸くしたが、それでも調査団全体の利益のためにと処理を引き受けてくれた。
自国で本格処理するには手間がかかるので、簡易キットを使うことに。ということで、材料を求められる。
面倒なのはヒェグンの扇子かな。以前は龍之城の最奥にしかおらず、直近の配置変更でフェイヨンダンジョンにも沸くようになったが、それでも若干遠い。フライパンは目玉焼きを、墨汁はイカを倒せば手に入る。烈火石はアマツの秘密の売り場と、プロンテラの噴水北東にいる商人から。
さてそうやって集めてきた材料を使って、ヒューはさくっと復元。
完璧主義者のヒューらしく、オリジナルより綺麗に。でもさすがに字まで綺麗になるなんてのはあり得ない。
それをリョースンの所へ持って行く。ヘンジヌが湖に書類を落とした、と聞いていたので触れたくなかったのだそうだが、意外にも手元に戻ってきてびっくりしていた。
同時に、ヘンジヌから「復元ならヒューに」という形で頼られたことを、意外にもヒューは嫌に感じていない、というノインの指摘に、リョースンもはっとしたよう。
さて、揃った書類を持ってノインはセルザンの所へ。ちょうど会議の予定時刻になったようで、他の3人もやってきた。
早速会議が始まる。
リョースンからはモロク追跡のための追跡隊増派要請が、ヒューからは隊員が時空の裂け目を通る時に発生するノイズについての報告と、それに関連する形で言外に増派拒否が、ヘンジヌからはアッシュ・バキュームの時空的位置づけと、調査の難航が伝えられる。
3つ合わせて得たセルザンの結論、「進展なし」に、場の空気が凍り付いた。
…セルザンは悪い人ではないと思うのだが、デスクワークだけだとこんな感じになってしまうのかねえ。ヒューが「人の苦労も知らないで」とぼそっと呟くのも仕方ないような気がする。
その時、リョースンが机下から何かを出した。そしてコーヒーブレイクを宣言しようとした時、セルザンがけたたましい叫び声を上げた。
何、とみるとゴキ…もとい盗蟲。ノインも含めて全員一目散に外へ出た。というか、状況的にノインは外へ押し出されただけかも。
改めて中に入り、計10匹いる盗蟲を倒す。ちなみに自分が倒す必要はない、が、70もあればリンクしたところで普通は死なないだろう。
倒しきると4人が戻ってくるのだが、机の上を見て今度はリョースンが叫び声を上げる。
何だ、と思ったら、机の上に出していたいちごケーキが潰されていた。しかもしっかり手の跡が付いている。
しかしノインはその瞬間を見ていた。びっくりしたとはいえ、ヒューだって自分がケーキを潰したことは理解しているはず。
だが、リョースンのブチギレモードを前に、素直に名乗り出られる人はいまい。まして「前にもこんなことがあったな共和国の人間よ」的な形で振られれば、やっていても「はい私がやりました」なんて言い出せるはずもない。
しかしそんな険悪なムードをぶち壊す、ヘンジヌのとぼけた声。
びっくりして潰しちゃった、あははと屈託なく笑うヘンジヌに、リョースンも多少は毒気が抜かれたよう。ついでのように書類復元を感謝する彼に、ヒューも思うところがあったのかもしれない。
落ち着いたところで、騒ぎすぎを陳謝するリョースンへ、今度はセルザンからきつい一言。こちらも謝罪して、とりあえずこの場は収まった。
そしてこのまま散会。
しかしヘンジヌは何故気を利かせてくれたのか。うっかり屋、にしても、汚れ役を買う必要まではなかったはず。険悪な空気が嫌いだったとか?にしても、ヒューに一方的に借りを作るのも変な話。
会議が終わってほっとしているセルザンを尻目に、ノインはヘンジヌの所へ走る。
理由はない、でもあえて言うならリョースンが悔しそうだったから、とヘンジヌは言った。ケーキは人数分あったので、全員でコーヒーブレイクを楽しむ予定が、ヒューのうっかりで失われてしまった。せっかくのコーヒーブレイクのネタを、という悔しさを、ヘンジヌは感じたようだった。
でも今までコーヒーブレイクなんて言い出さなかったリョースンが珍しい、と笑うヘンジヌだが、ノインはそこにヒューへの感謝の意味も感じていた。
せっかくなので、と、アルナベルツ名物のサンドイッチをもらう。
彼にはこれが常食だったが、初めて見た王国のいちごケーキも、それはそれでおいしそうだった。自分の国のものばかりに固執して、他の文化のいいところを知ろうとしなかった自分に、恥じ入る気持ちが出来たのかもしれない。
そんなヘンジヌにいたく心配されていたヒュー。
指摘通り、彼は相当落ち込んでいた。
謝れば許す、と言ったリョースンに、それでも謝ることが出来なかった自分。リョースンの言いがかりについムキになってしまった自分が、冷静になってみればとても恥ずかしいと。
でもやはり面と向かって謝るのは恥ずかしいし、また言い争いになる可能性がある。代わりといっては何だが、つい持ってきてしまった王国分の報告書を、彼に返してくれるように頼まれた。そしてヒューからもシュバルツバルド名物のパイナップルジュビリードリンクを。
リョースンは最初に会った時と同じくむかついていた。
しかしその理由は自分がついムキになってしまったこと。その結果ヒューに言い過ぎてしまったことに、自責の念を抱いていた。
ヒューに謝りに行こうとしていた彼だが、そんな彼にノインが差しだした報告書に、ヒューからの手紙が挟まれていた。手紙で謝罪した訳ね。
彼の苦悩と葛藤を文面から理解したリョースンも、彼を許しわだかまりをなくす気になっていた。
ヒューへの報告書復元に対する感謝の意味も込めて、改めて打ち上げをやることに。打ち上げ、というか、親睦会ですな。
結局、書類だけのやりとりだと相手のなりは看板でしか分からない。調査団や追跡隊が苦楽を共にして気持ちを通じさせるのと同じ努力を、懇親会などの仕事以外の場でのフランクな接触という形でしていく必要があるのかもしれない。
それは会社勤めやクラブ活動などでもそう。メンバーが協調性を高め本来の目的をより高いレベルで達成するために、プライベートな部分にまで立ち入ることもあわせての飲み会であったりオフであったり、キャンプやバーベキューなどの屋外活動なんかがある。酒が飲みたいだけならみんなで集まる必要もない。ビジネスに限らず、団結を強めるのはそういうところから、なのかもしれないね。
さて、リョースンからもイチゴケーキをもらった後、そんな3人の様子をセルザンに伝えに行く。
オフでのつながりを持てた彼らに、セルザンもほっとした様子。というか、彼が最初からこういった方向で内部をとりまとめていればよかっただけのような気がする。今回の事件がなければ、いつまでもいがみ合っていたわけだし。会議進行も含めて、あまり有能とは言えないかなあ。そういう意味では、3人がセルザンを支えているような状態かもしれない。
セルザンはシガイツのことも口にした。
シガイツの理想、世界平和。それはこういう協調から生まれるものなのかもしれない。追い落としの真相までは知らなかったようだが、やはり憧れの存在のよう。
最後に彼から茶を振る舞ってもらい、救急箱、ついでに経験値ももらった。
騒動はこれにて終わりだが、以降、リョースン・ヒュー・ヘンジヌの3人に、彼らが欲する収集品を渡すと、名物のおやつをくれる。おやつはそれぞれ比較的性能がいいので、ここで狩りが出来るなら積極的に交換してもらうと狩りに役立つかも。
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